アニマドーレで感じた「食べる」について

アニマドーレで感じた「食べる」について

〜消費バランスの大切さ〜

アニマドーレではこの一年、感染症の影響でオンライン中心ではあったものの、これからの生活の直接的な糧となるような、さまざまな学びがありました。 その中で特に深く考えさせられたのは、「食べる」という行為、そのものについてです。 

「食べる」とは何か。

そもそも私がアニマドーレに参加する前、「食」対しての興味はとても表面的なものでした。おいしいものを食べることはもちろん好きでしたが、時としてお昼ご飯を食べ忘れたり、空腹をお菓子で満たしてしまったり、と「食べる」ことの優先順位は生活の中で低い方に位置付けられていたのです。 

しかし、アニマドーレでたくさんのお話を聞いていく内に、それが自分の中で変わっていきました。 
「食べる」とは何か、そのことついて最初に考えるきっかけとなったのは、農家訪問バスツアーで訪れたファーム伊達家の伊達さんのお話です。伊達さんは公務員から農家へと新規就農された方で、「自然栽培」という未だ詳しく解明されていない農法を自ら試行錯誤している姿が、とてもかっこよく自分の目に写った覚えがあります。そのお話の中で、「『食べる』ことも大切な農作業」という言葉が印象的でした。農業は作物を育てて収穫する生産者とおいしく食べる私たち消費者がいることで成り立っている。「食べる」というのはその繋がりの中にある大切な行為、すなわち農作業である。そういうことが、この言葉の中に込められているのではないかと思います。 

どう「食べる」か。

では、私たちはどのように「食べる」をしていけばいいのでしょうか。 農家ではない私たちがしている”農作業”はご飯を食べるだけではありません。「消費」もその一つです。 

「1個150円の卵は、アリかナシか」についての、平島さんと伊藤さんお二人の対談では、その「消費」のあり方に対し自覚的になれました。アニマルライツの考え方に反するような良い環境とはいえない中で飼育されているが、安価で提供されているからこそ生活を支えている15円の卵。鶏ファーストに環境や安全に配慮された中で飼育されているが、手に届きにくい七飯町の小野養鶏場さんの150円の卵。この二つの卵の、二つの現実に対し、最終消費者として責任を持って向き合う必要性があると強く感じました。 

バランス良く「食べる」「買う」

このことは、小野養鶏場さんの卵に限らず、バスツアーで伺った伊達さんをはじめとする自然栽培などによって育てられた農作物であったり、天然昆布と丁寧に育てられた養殖昆布の違いなど、消費に関わる全てのことに言えることです。 

それに対し私は「消費バランス」をキーワードに考えていきたいと思いました。栄養バランスを気をつけるには、その食材に含まれる栄養素を知った上で、適切な調理をし、偏りなく食べる。このことが大事なように、消費バランスでは、その食べ物の産地から生産方法まで知った上で、お財布と相談しながら、偏りなく買う。栄養バランスは自分の健康をよりよくするためですが、消費バランスは自分だけでなく生産者も含めた社会全体をより良くするための考え方になるのではないかと思います。 

まずは知って、考えるところから。アニマドーレで感じたこのことを軸足に、これからもおいしく「食べる」をしていきたいです。